第47回 日本の高度経済成長の裏には

                                    

何もかもアメリカの検閲のもとに進められた民主化ですが、結果的にはよかったのかもしれないと、最近になって私は思います。終戦直後、日本を手中におさめたいとソ連もねらっていたのですよね。(事実、終戦の十日後、ソ連は樺太で日本に戦闘をしかけています)日本がソ連の傘下にはいり社会主義国になっていたら・・・と考えるとゾッとします。

 

 さて、戦後の復興については、日本人は底力を発揮したようです。敗戦国の日本は、他国も目をみはるほどの成長をとげます。戦争により壊滅状態だった日本に対し、連合国は補助金をだしてくれましたが、それも少しの間だけで打ち切られてしまいます。結局日本人自身ががんばって経済を立て直すしかなかったのです。そこへ1950年の「朝鮮戦争」です。資本主義と社会主義の対立が表面化した朝鮮半島の南北の戦争で、日本の景気は回復します。

 

 戦争で儲かる国があるというのは、ちょっと信じられませんよね。でも、戦争をしている国では物資の生産も行われなくなる訳ですから、周りの国から買わざるを得ないのです。それに朝鮮戦争のときは、アメリカ軍が日本に駐留していましたので、アメリカ軍に対しても物資を供給する立場に日本は立ちました。

 

 1951年、サンフランシスコ平和条約をもって日本はやっと独立を回復しました。しかし、このときソ連が日本と調印しなかったため、日本はまだ国際連合に加盟できませんでした。加盟できたのは、1956年の日ソ共同宣言を結んだから。いまだにロシア(旧ソ連)との間には、北方領土の問題が残されています。

 

 そして、1951年にはもう一つの重大な条約が結ばれています。日米安全保障条約です。「日本の安全を守ってあげるから、アメリカ軍の基地をおかせて・・」というものでした。敗戦国の日本としては、それを断ることもできずに受け入れます。だから、今でも日本には、アメリカ軍基地があるのです。米軍基地に関しては様々な問題がありますが、考えてみてください。共産主義の中国、社会主義のソ連をかかえる東アジア。社会主義国家が広がるのを防ぎたいアメリカ本国は太平洋を挟んだ向こう側です。日本にアメリカ軍の基地があれば、中国とソ連に勝手な行動をさせなくて済むだろうと考えたのも仕方のないことかもしれません。敗戦国日本が、どこの国にも手を出されないで、平和に高度経済成長を遂げられたのは、日本に手をだせばアメリカに攻撃されるという恐れがあったからこそだと思います。

 

 さてこのように、第二次世界大戦後の世界は一見平和になったようにみえましたが、実際には、西欧諸国の植民地となっていた国での独立戦争や、社会主義と資本主義の対立、つまりソ連とアメリカの対立が続いていました。直接対決はしていないので、この対立のことを冷たい戦争といいます。


 最後にひとつ。私はアメリカの肩を持つわけではありません。米軍基地を認めるわけでもありません。安保(日米安全保障条約)反対を唱えた学生たちの気持ちもわかります。原爆を投下したアメリカを許そうとも思いません。しかし、今、北朝鮮が、軍隊を持たない日本に爆弾を打ち込んでこないのは、日本の後ろにアメリカの姿が見えるからだということは明らかです。


 日本が、憲法第9条をなくすことなく、世界各国との外交をうまくやっていくには、いったいどうしたら良いのでしょうか。とてつもなく難しい問題だと思います。


☆☆ どうしたら日本は平和のままでいられるか考えてみよう ☆☆